体力が限界なので、そろそろ他の業界に移って普通の暮らしをしたいと高校時代からの友人が嘆いていました。
彼は某ファストフード店にアルバイトとして入社。
店長職を経てSV職(スーパーバイザー)についており、年収は何と800万円以上。
そんなに給料を貰って何が不満なのか聞いてみたところ、「店長時代から忙しすぎてろくに休みも取れない。金があっても使えない」ってさ!
何ともうらやましい話だよ。
彼のように飲食業界から介護業界やホテル業界に転職する40代は多いですが、その逆パターンはあまり見られません。
では何故そのような流動が起こっているか、また飲食業界内はどういうことになっているのか考えてみました。
目次
飲食は40代でも自由に転職が可能な業界として有名
我々がいる一般的な業界において、40代が転職するとなれば非常に厳しい現実が待っています。
しかしながら、飲食業界内においては、40代であっても今までの経験がそのまま活かせる業界ですから転職してバリバリ働いている方も多いです。
飲食業界は、サラリーマンがお世話になっている居酒屋から、日本料理、中華料理、イタリアンの専門食店まで様々。
また、勤務先がビジネスホテル内の店舗であったり、会員制の高級ホテル内であったり様々なカテゴリーに分かれています。
日本料理店のように、一つに専念して経験してきた40代が重宝される場合、逆に様々なジャンル経験してきた40代を求められている場合もあります。
これまでに培ってきた経験やスキルを余すことろなく、次の職場でも活かすことが可能なのが飲食業界の特徴と言えます。
このような独自性は、同じように介護業界でも見受けられます。
飲食業界は、慢性的な人手不足で、3K(キツイ・汚い・危険)だから誰もやりたがらないと言われています。
日本人のスタッフを募集しきれない店舗が、韓国人や中国人の留学生を大量に募集して、安い賃金で働かせ労働基準法違反で捕まったニュースはよく聞くようになったのではないでしょうか?
何故そんなことが起きているのかと言えば、飲食業界が売り上げを確保し続けるためには、新しい店舗を出店し続けなければならない宿命を背負っているから。
我々消費者のニーズは、刻一刻と変わっています。
そんなニーズに対応すべく、斬新なスタイルの飲食店を出し続けなければならない企画力や経営戦略が必要です。
そういう企画力や経営戦略を持ち合わせているのが、我々40代です。
ですから、飲食業界で長い間活躍されてきた40代はもちろんのこと、40代が活躍できるフィールドが揃っていると言えるでしょう。
- これまでの経験や知識が活かせるフィールが多い
- 慢性的な人手不足
40代必見!飲食業の管理職は現場もこなすプレイヤー
一般的に言って、大手チェーン店の正社員は、本店業務だけでなく店長のマネジメントを担当することが多いのが飲食業界の特徴。
店長が行うのは、売上管理、在庫管理、スタッフ管理、シフト管理の4つが主な業務。
それらを管理するためには、その店舗の全ての業務を把握しておく必要があります。
ですから、まずは接客だけでなく清掃や調理補助に至るまで、全ての業務を覚えなければなりません。
店舗の仕入れ業務や在庫管理、さらには仕込みを含む開店準備から閉店準備までの一連の流れは最初に覚えておくべきでしょう。
また、メニューの盛り付け方や提供の仕方だけでなく、価格までも熟知しておかなければ、スタッフへ指示ができるとは思えません。
出来て当たり前の世界でして、その店舗の世界観やルールを覚えるのはもちろんのこと、接客するうえでの言葉遣いだけでなく身だしなみ、全てにおいてスタッフのお手本となるべき存在なのが店長の役割です。
担当店舗だけでなく、本店との連携も欠かせません。
ですから、オールラウンダーとして立ち回れる40代は店長職に向いていると言えます。
それなりの地位にある40代は「若い者に舐められたら最後」危機感を常に持って仕事をしています。
下からの突き上げは、どこの業界でも切ないものですね。
冒頭で話した友人は、店長時代200名にも及ぶアルバイトやパートの管理を任されていただけでなく、採用面接や書類整理で休む暇もなかったと言います。
また、一番辛かったのが、 本店から昼夜問わずかかってくる問い合わせ電話。
子供を風呂に入れている最中だろうが、旅行先だろうが居留守を使うことは許されていなかったから、最後には、24時間監視されている人生に嫌気がさしてしまった。
飲食業界の特徴は離職率と事故発生率が高い
飲食に代表されるサービス業は、サービスを提供して売上を上げているので、我々サラリーマンと同じように週休2日制を採用してしまうと商売あがったり。
店の休日は多くても週1日とするところが多いですね。
もちろん年中無休の飲食店なんて珍しくもありませんし、そういう店舗はシフト制を取っています。
一般的に飲食業界にブラック企業が多いと言われていること
ポイント1:福利厚生に問題あり
飲食業界においては、多くのサラリーマンが休みの土曜日や日曜日が稼ぎ時ですから、どうしてもそれ以外の日を休日とせざるを得ません。
また慢性的な人手不足である店舗が多いため、シフト調整が難しく、年間休日が法定休日を下回っている店舗も多く見受けられます。
風邪や病気でアルバイトに欠員が出た場合は、いわゆるワンオペによる深夜の労働体形が敷かれており、社会問題になったのは記憶に新しいのではないでしょうか?
ワンオペ(ワン・オペレーション)とは、人手が不足する時間帯(特に深夜)を中心に、外食チェーン店で従業員を1人しか置かず全ての労働をこなす行為をさす。
このワンオペが世間で注目されたのは、ゼンショーホールディングスの牛丼専門チェーン店「すき屋」の事例である。
2014年に全国のすき屋の大半で、ワンオペによる深夜の労働体系が敷かれていたことが発覚。
一例として、ある大学生はメディアのインタビューに対し、ワンオペの影響で9時間にわたり休憩をとらないまま1人勤務に就いたとの経験を告白した。
また従業員に対するアンケートによれば、「回転(24時間以上の連続勤務を週数日間連続でこなす)により、居眠り運転による事故を起こした」「年末に親に会い、20㎏もやせてみていられない。やめてくれと頼まれた」といった意見が寄せられ、中には月あたり500時間以上勤務した事例や、2週間以上も自宅に帰ることができなかった人もいたとされる。
これらの問題に対し、同社が組織した外部有識者らで構成する第三者委員会から「法令違反」とする指摘があったことから、ワンオペを取り入れていた多くの店では2014年10月以後、深夜0時から5時の営業を停止するか、2人以上の従業員を配置しローテーションを図ることにより、ワンオペを「できるだけなくす」としている。
ウィキペディアより引用
また、慢性的な人手不足のため、有給休暇を自由に取ることのできない環境の企業が目立ちます。
有給休暇を取ることは法律的に認められていますが、ケガや病気時でさえ有給休暇を使うことすら許されず、「有給を使ったらリストラの対象にする」と脅され泣き寝入りするケースが多かった。
しかし、近年スマホやボイスレコーダーが高機能になったお陰で、訴訟に持ち込まれるケースが増えています。
個人レベルの飲食店では未だ「俺が法律だ!」と息巻いている店長やオーナーが多いのも事実。
ポイント2:離職率が高い
年間休日の少なさや有給休暇の取得率の低さが、慢性的な離職率の原因の一つ。
また、早出残業やサービス残業が多く、1日の拘束時間が長くなる傾向を持っており、拘束時間の割に稼げないと考える若者が増えているようです。
実は飲食業界は体力が必要な仕事で、店長とスタッフ、先輩後輩のいわゆる上下関係がハッキリしている業界ですから、基本的に体育会系のノリでやっている店舗が多いですね。
40代未経験で飲食業界に入れば、役職が付いていようとも後輩は後輩です。
そういう人間関係を克服できるか否かが、飲食業界で生きていくコツのひとつと言えますね。
また、離職原因の一つが、先輩にあたる人物からの金品や宗教加入の強要(パワハラ)があります。
入社した店舗が宗教団体の溜まり場だったとか、昇進の条件が宗教への加入であった話はよく聞こえてきます。
業界自体が体育会系ですから、実際はもっと多くの事例が起こっていると考えるべきですが、そのような体験をした場合は警察に通報したうえで、1日でも早く職場を去るべきです。
ポイント3:事故発生率が高い
飲食業界では、調理で包丁を使ったり火を扱うため、ヤケドを始めケガや事故が起こり、衛生面の管理が不十分で食中毒を起こしたりと事故が絶えず発生しています。
また、大型食洗器を導入していない一般の店舗においては、経費削減のため水洗いさせられ洗剤負けして手が荒れる事例が報告されています。
さらには「注文した料理はまだか?」「見本と全然違うから料金は払わない」クレーム対応も常に発生しています。
インターネットが発達した現代においては、ちょとした対応が命取りになるケースが多いのではないでしょうか?
twitterやSNSを通じて悪いうわさを拡散されれば、企業の存続自体危うくなるケースが増えているので、クレーマー相手だろうがそのクレームを真摯に受け止め、今後の店作りに活かす方向性であるべきです。
飲食業界は本当に居心地が悪いのか聞いた結果まとめ
最後に要点を纏めておきますので、参考にしてください。
- 慢性的な人手不足で3K(キツイ・汚い・危険)
- 培ってきた経験やスキルを、どこの職場でも活かすことが可能
- 休日や有休取得率が少ない
- 離職率が異常に高い
- 体育会系なので上下関係がハッキリしており、パワハラ事例も多い
転職支援をしている斎藤でした。